売買物件お役立ち情報
鉄筋コンクリート一択ではない?なぜ今、木造が選ばれ始めているのか
沖縄の住宅といえば、強烈な台風や高い湿度に耐えられる鉄筋コンクリート(RC)造が圧倒的に選ばれてきました。暴風にもびくともしない堅牢さ、湿気にも強い耐久性、これらの理由から、沖縄では「家=RC造」が常識だったといっても過言ではありません。
しかし、ここ数年でその当たり前が大きく変化しています。
りゅうぎん総合研究所の調査によると、2023年度の新設住宅着工数では、木造住宅がRC造を上回るという、沖縄では非常に大きな転換が生じました。これまでの住宅観では考えにくかった「木造の優勢」が、現実として現れているのです。
なぜいま、沖縄で木造住宅が選ばれ始めているのでしょうか。
沖縄で木造住宅が増えている主な理由
背景には、複数の経済的変化があります。
沖縄で木造住宅の着工が増えている背景には、いくつかの要因が複合的に作用しています。ひとつは、ここ数年で顕著になった建築費や地価の上昇です。住宅取得にかかるトータルコストが膨らむ中、比較的コストを抑えられ、なおかつ工期が短い木造住宅が“現実的な選択肢”として評価され始めています。
さらに、県外の大手ハウスメーカーが沖縄に積極的に参入したことも大きな後押しとなっています。大量仕入れによるコスト調整や工場生産による品質の安定化によって、立地の良いエリアでも木造分譲住宅が手に届きやすい価格帯で供給されるようになりました。その結果、これまでRC主体だった住宅市場に、木造という新しい選択肢が浸透しつつあります。
加えて、技術の進歩によって木造に対する不安が大きく減ったことも見逃せません。耐風性の強化、防蟻・防湿対策の高度化、気密性や断熱性の向上など、従来の「沖縄には木造は弱い」というイメージを覆すだけの技術が確立されてきました。こうした変化が積み重なり、木造住宅は「価格が安いから選ぶ住宅」から「安心して長く住める住宅」へと評価が変わり始めているのです。
家賃の上昇が「持ち家志向」を強くする背景
土地価格の上昇は、賃貸市場にも確実に影響を及ぼしています。数年前まで「1Kで5万円ほど」が相場だったエリアでも、現在では7〜8万円に近づく例が珍しくありません。新築マンションや戸建て賃貸ともなれば、家賃はさらに跳ね上がり、毎月の住居費が家計を圧迫しやすい状況になっています。
こうした環境の中で、「同じ金額を払い続けるなら、自分の資産になる家を持ったほうが良いのでは」という考えが広がりつつあります。実際、住宅ローンの返済額が現在の家賃と大きく変わらない、もしくはそれ以下になるケースも増えてきました。
特に、フラット35のような長期固定金利のローンを選べば、将来の金利変動や家賃のさらなる高騰に左右されない安心感が得られます。もちろん、地価が上がっている局面では慎重に判断することも重要ですが、「これ以上価格が上がる前に動いておきたい」という心理が購買意欲を後押ししているのも事実です。
現代の木造住宅は地震・台風に強い「進化した住まい」へ
「木造は災害に弱い」というイメージは、いまでも一部に残っています。しかし、それは昔の木造住宅を前提にした印象であり、現在の木造はまったく別物と言っていいほど進化しています。
1981年の新耐震基準の導入、そして2000年の法改正により、木造住宅にも構造計算や接合部補強、耐震金物の設置などが義務化されました。これにより、現代の木造住宅は地震に対して高い耐性を持ち、専門家の間でも安全性は十分に認められています。
さらに、沖縄の住宅事情に目を向けると、平屋や2階建ての低層住宅が多いことから、建物の重心が低く揺れに強いという地域特有のメリットもあります。 加えて近年は、台風対策として耐風性能を高めた設計や建材が広く採用されており、風圧に対しても一定の安全性を確保できるようになりました。
昔ながらのイメージとは大きく異なり、現在の木造住宅は「地震にも台風にも強い」安心できる住まいへと着実に進化しているのです。
沖縄の自然環境を考えれば、RC造の価値は今も揺るがない
木造住宅の需要が高まっているとはいえ、沖縄における鉄筋コンクリート(RC)造の存在感が薄れたわけではありません。むしろ、沖縄特有の「高温多湿」「潮風」「強風」という厳しい自然環境を踏まえれば、RC造が持つ堅牢性は依然として大きな魅力です。
RC造は、耐火性・防音性に優れ、構造体の劣化スピードも緩やかです。そのため、メンテナンスの頻度やコストを抑えやすく、長期的に見ると“住まいとしての安定性”が非常に高いという特徴があります。
また、近年は巨大台風の直撃が減っているとはいえ、将来的な気候変動リスクを懸念し、「より強固な住まいを選びたい」という理由でRC造を選択する方も少なくありません。
いまの住宅選びは「木造かRC造か」という単純な二択ではなく、 「どんな暮らし方を望むのか」 「将来どのように家と向き合いたいのか」 といった価値観を軸に、最適な工法を選べる時代になりつつあります。
築古RC造を活用した「再生住宅」という選択肢が広がっている
石垣島には、築30〜40年を超える鉄筋コンクリート(RC)造の住宅が多く残っています。昨今の建築費高騰を踏まえると、こうした既存ストックをうまく活用し、リノベーションによって価値を再生させるという考え方が、以前よりも強く支持されるようになりました。
確かに、築年数が経過した住宅は、外観や設備に古さが目立つこともあります。しかし、RC造は構造体が丈夫で耐久性に優れているため、内装の刷新や設備交換、断熱性向上、必要に応じた耐震補強を行うことで、住み心地を新築並みに高めることができます。
さらに近年は、住宅ローンのなかにリノベーション費用を組み込める金融商品が増え、「中古物件を購入し、自分らしく作り変える」という住まい方が現実的な選択肢として広がってきました。立地の良さや構造の強さを持つRC造の中古住宅であれば、資産価値という観点でも十分な魅力があります。
新築以外にも、より柔軟に選べる住まいのかたちとして、築古RC造のリノベーションは、いま改めて注目されているのです。
「いまだからこそ」納得できる住まい選びを
木造かRC造か・・・どちらが正解というわけではありません。耐久性や性能、コストだけでなく、これからどんな暮らしを描きたいか、どんな環境で家族と時間を重ねたいかといった未来のライフスタイルまで含めて考えることが、住まい選びでは何よりも大切です。
選択肢が広がった今の沖縄だからこそ、自分たちに本当に合った住まいの形に出会いやすくなっています。新築・中古、木造・RC造、購入・リノベーションなど、検討できる方向性はこれまで以上に豊富です。
私たち日宅では、土地探し、設計・建築、住宅ローンのご相談はもちろん、中古住宅のご紹介やリノベーションのご提案まで、住まいづくりに関わる幅広いサポートを行っています。地価が上昇し続ける今の局面を「焦りの材料」にするのではなく、今だからこそ選択の価値があると前向きに捉えていただきたいと考えています。
沖縄での住まい選びに迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。 あなたにとってベストな住まいのかたちを、私たちと一緒に探してみませんか?