不動産売却には土地面積を正確に把握するための測量調査が欠かせません。不動産売却では、多くのシーンで面積にもとづいて物件の売却価格を決定するため、正確な土地面積を測量で割り出すことはある意味で必要な手続きの1つです。

この記事では、測量が不動産売却においてどのような役割を果たすのかという点についてご紹介します。

◆正確な土地面積が不動産売却で重要視される理由

測量作業は、「面積」と「境界」という2つの要素を正確に測量する目的で行われます。たとえば、土地面積は登記簿謄本に載っている「地積」が参考になります。しかし、地積は必ずしも正しい面積を表しているとは限りません。

隣地との境界が曖昧だったり、一昔前の測量技術では測量結果が正確でなかったりする場合も多く、正確な土地面積をあらためて測量し直すことが重要視されています。

<測量調査サービスを利用する人が増えている>

不動産価格は土地の面積などに坪単価や平米単価をかけ参考値を算出します。そのうえで、土地の形状や陽当たりをはじめ、さまざまな要素を加味したうえで不動産価格を決定することが一般的です。

その際に、土地面積が不正確な数字では正しい不動産価格を算出することができません。土地面積に応じて家屋の建築面積や高さといった違いも生まれるため、正確な面積測定を売り主に依頼する買い主が増えつつあります。

そのため、一昔前の測量技術で算出された「地積」は参考程度に、実際に不動産売却を行う場合は正しい土地面積を測量する事が望ましいです。

<測量結果を正しく書面に残すことが大切>

測量調査を行って「境界」確定を済ませたら、通常は境界標や境界杭といったアイテムを設置して目印とします。しかし、それらは何らかの影響で抜けてしまったり、位置が変わってしまったりすることもあるため、境界を具体的な資料として残しておくことが重要です。

その際に役立つのが「境界確認書」です。詳細を書面として残しておくことで、隣人とのトラブル発展を防止できます。また、境界確認書があれば、登記簿に誤って登録されている古い地積などの修正申請も行えます。

土地の売却や相続分割といったケースでも、境界確認書の有無で各手続きのスピードが変わるため、測量調査とともに結果を書面に残すことが重要だと言えるでしょう。

◆測量による具体的な調査内容

基本的に、測量士や土地家屋調査士といった有資格者が測量調査を行います。主に「測量図の作成」「土地面積の測定」「境界の確定」といった業務があり、依頼によっては土地家屋調査士が測量結果を登記することがあります。

中でも、後々のトラブルを避けるために「正しい境界」を確定する測量は非常に大切です。測量には、主に現況測量と確定測量の2種類があります。

<現況から境界を定め測量を行う現況測量>

「測量に掛かる費用を抑えたい」「時間を短縮したい」という方におすすめの方法が現況測量です。境界杭や境界標、フェンスなどすでに現場で確認できる境界などをもとに現況を測量します。

確定測量に比べるとコストを抑えスピーディに測量を行えるメリットがありますが、隣地の方の同意を得て作成する訳ではないため決して正しい境界とは言えないでしょう。そのため、現況測量によって測定した面積は地積として登記することができません。

あくまで仮測量として、買い主との査定や交渉に活用する資料の参考になるものが現況測量となります。

<隣地所有者と境界確定し測量を行う確定測量>

有資格者と隣地所有者立ち会いのもと、境界の同意を得て、その境界を起点に測量することが確定測量です。確定測量は有資格者の判断により、隣地との同意を経て正しい境界を測量できます。

そのため、確定測量図面があれば、境界確定書面などとともに地積更正登記の地積情報を更新してもらうことが可能です。

とはいえ、「隣地の所有者が1人だけ」ということはめったにありません。土地環境が複雑であればあるほど確定測量図面の作成には手間が掛かります。また、公有地が隣接しているなど行政の立ち会いが必要になるケースでは、現況測量と比較してより多くの費用や時間が掛かってしまう傾向にあります。

◆土地面積測量が必要なケースの具体例

島内に限らず土地や一戸建ての売却を考えている場合は、事前に土地面積測量をしておくことをおすすめします。中でも、確定測量が必要なケースは以下のとおりです。

  • ・境界が不明瞭
  • ・地価が高い土地
  • ・登記済みの地積が疑わしい
  • ・相続税を物納で納めたい

<境界が不明瞭な場合>

通常では、隣地との間にフェンスや堀が設けられていたり、境界の印となる境界杭や境界標といった目安が存在したりします。しかし、そういった境界の目印になるものがなく、境界が分からない場合は確定測量が必要不可欠です。

境界が曖昧のまま不動産売却を行うと隣人とのトラブルに発展する可能性もあるため、専門家による確定測量によって、両者が納得の行く境界を慎重に見極めましょう。

<地価が高い土地の場合>

不動産売却のシーンで測量が重要視される理由は、面積や坪単価などに応じて不動産売却価格の参考値になるからです。中でも地価が高い土地の場合は、1平米の差で売却額に大きな差が生じてしまうことも。

もちろん、「正しい測量によって地積の記載面積よりも小さいことが発覚した」「不動産の売却価格が安くなってしまった」というケースも十分に考えられます。しかし、正確な土地面積を把握しているかどうか、それを買い主と共有できるかどうかで、不動産売却の取引を安心して進められるかが変わるのは間違いありません。

<登記済みの地積が疑わしい場合>

登記簿謄本に地積が記載されていても、先祖代々受け継がれてきた場合など、測量日がかなり古いため実際の土地面積と相違が発生している可能性が高いです。最新の技術と比較すると、昔の技術では正しい測量ができなかったため、改めて確定測量をすることで正しい地積を割り出すことができます。

<相続した不動産の相続税を物納で納める場合>

相続税には、特定の事情によって土地などの一部相続財産による物納が認められています。「担保権の設定登記がされていないこと」といった物納で収める条件が設けられていますが、中でも「境界が明らかでない土地」は物納に不適格とされています。

そのため、相続した不動産の相続税を物納で納める場合、境界が明らかでない土地はそのまま利用することができません。事前に必ず確定測量を行う必要があります。

また、相続により不動産物件を譲り受けた場合、財産への課税額を正しく調査するために財産評価を行う必要があります。その財産評価を正しく行うためにも、土地の測量が求められるケースが多いため注意が必要です。

参考:相続税の物納(国税庁)

◆不動産売却に必要な土地面積測定の費用目安

測量方法には「現況測量」と「確定測量」の2つがあり、基本的には現況測量の方が費用などのコストが安くなる傾向にあります。

たとえば、300平米の整形地を現況測量により査定する場合、おおよそ15~25万円の測量費用が必要です。また、全体の測量を終えるまでに3週間ほどの期間が必要になります。

一方で、確定測量の場合は複雑な手順により、測量に掛かる費用や期間が多くなってしまいます。隣地所有者などの立ち会い人数などをはじめ、さまざまな手順により所要時間や測量費用が多額になってしまうケースもあるため注意しておきましょう。

もし石垣島で不動産売却を考えている場合は、確定測量を行っている複数の業者に相見積もりを依頼して、比較検討してみることをおすすめします。

◆不動産売却をするなら正しい土地面積測量を!

いかがでしたでしょうか。様々な角度から土地面積測量について説明させていただきました。不動産を売却するには、不正確な土地面積のままでは、正確な不動産売却額を割り出すことは難しいのです。

ですので、不動産売却をするなら「確定測量」を用いて土地の価値を正しく把握する必要です。「現況測量」に比べると期間も長く費用もかかってしまうものの、資産価値の把握や隣地所有者とのトラブル回避などさまざまなメリットがあるのも事実です。

「リスクを最大限に抑えて正しい不動産売却をしたい」という方は、ぜひ確定測量をご検討下さい。あわせて、もし不動産の売却をご検討されていればぜひ弊社までご相談下さい。不動産売却に必要な書類や手順などを当スタッフが最大限にサポートいたします。