家や土地をはじめ、さまざまな不動産の売却を考えた時は、買い主を見つける必要があります。とはいえ、個人だけで買主を見つけるのは至難の業です。そこで、当社など不動産業者を通して売却するケースがほとんどになっています。

そんな不動産の売却において、契約にいくつかの種類があることをご存知でしょうか。この記事では不動産売却における契約の種類について、それぞれの違いやメリット・デメリットをご紹介します。

◆不動産売却では”媒介契約”を行うことが一般的

不動産の売却を行うには、事前に媒介契約を済ませることが一般的です。媒介契約とは、不動産の売却や貸借を行う際、宅建業者がどのような営業努力を行うか、契約内容をあらかじめ定めることを言います。

契約内容は、国土交通省が定めた「標準媒介契約約款」に基づいて作成されます。不動産会社が売却までに行うさまざまな業務や仲介手数料について明確に書面化することで、後のトラブルを防ぐために行われる契約です。

◆不動産売却における“媒介契約”は主に3種類ある

不動産の売却では媒介契約を行う義務があり、その契約内容は主に3つの種類に分かれています。不動産売却における契約の種類は以下のとおりです。

  • ・専任媒介契約
  • ・専属専任媒介契約
  • ・一般媒介契約

それぞれの契約における違いについて、当社の契約書に記載している内容を簡単にご紹介します。

専任媒介契約

「依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができません。依頼者は、自ら発見した相手方と売買又は交換の契約を締結することができます。当社は、目的物件を国土交通大臣が指定した指定流通機構に登録します。」

不動産の売却を1社に限定してご依頼いただきます。

専属専任媒介契約

「依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができません。依頼者は、自ら発見した相手方と売買又は交換の契約を締結することができません。当社は、目的物件を国土交通大臣が指定した指定流通機構に登録します。」

不動産の売却を1社に限定してご依頼いただきます。

一般媒介契約

「依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができます。依頼者は、自ら発見した相手方と売買又は交換の契約を締結することができます。」

複数の会社へ不動産の売却をご依頼頂ける契約種類です。

不動産売却の契約種類別メリット・デメリット

先述したとおり、媒介契約には3つの種類があり、それぞれ内容が異なっています。そのため、不動産を売却する時は契約種類に応じて発生するメリット・デメリットをあらかじめ把握しておき、自身にマッチした媒介契約を結ぶことがベストです。

◆それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

専任媒介契約のメリット・デメリット

「専任媒介契約」は、基本的に1社の不動産会社とのみ媒介契約を行います。ほかの不動産会社と合わせて契約はできないものの、自身で買主をみつければ自己取引が可能になっています。

売却の委託先が1つに限定されるため、窓口の集中化により各種連絡対応がやりやすい点もメリットです。しかし業者によっては、仲介手数料を目当てに、わざとほかの不動産会社へ物件を紹介しない悪質な「囲い込み」に遭ってしまうリスクがデメリットとして存在します。

専属専任媒介契約のメリット・デメリット

「専属専任媒介契約」を結ぶと、不動産会社のみが物件を扱えるようになります。つまり、不動産の売却は不動産会社に一任され、外部で契約される可能性がないため、不動産の販売活動に注力してもらえる点がメリットです。

また、売却の委託先が1つに限定されることで、連絡など密なコンタクトが取りやすいメリットもあります。一方で「専属専任媒介契約」のデメリットとしては、たとえ自身で買主を見つけても、かならず不動産を通して売却を行う契約という点があげられます。どのようなルートで不動産を売却することになっても、仲介手数料を支払わなければなりません。

一般媒介契約のメリット・デメリット

「一般媒介契約」は、どの不動産会社とも並行して契約を結べます。多くの不動産会社に依頼することで買主に発見してもらえるルートは多くなるメリットがあり、また自身で買主を見つけて自己取引を結ぶことも可能です。

ただし、「自社でかならず契約が成約する」といったメリットが薄い影響から、契約を結んだ会社が不動産売却に注力してくれない可能性も。また、業務報告など各種連絡の義務がないことから、現状の販売活動がどのような進捗か把握しづらい点がデメリットとしてあげられます。

◆不動産売却では契約種類によって「仲介手数料」が必要

不動産を売却するとき、どの契約種類であっても、不動産会社を経由した取引が成功したら「仲介料」をお支払い頂く必要があります。仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限が定められているため、最大コストを踏まえてどの程度の予算が必要か事前に把握することが可能です。

不動産売却の契約に伴う「仲介手数料」は以下のとおりです。

仲介手数料(上限額)の計算式

取引額200万円以下の金額 → 百分の5.5
取引額200万円を超え400万円以下の金額 → 百分の4.4
取引額400万円を超える金額 →百分の3.3

売買価格が3,000万円の物件の仲介手数料の上限額

(200万円×5%)+(200万円×4%)+(2,600万円×3%)=96万円
※この額に消費税を上乗せした金額が仲介手数料の上限額です。

仲介手数料は法律によって細かく上限額が定められており、上限を上回っている手数料は無効となります。上記金額を参考に不動産売却の契約種類を見返して、正当な仲介手数料か見返してみることをおすすめします。

◆不動産を売却する時は自分にあった契約種類を選ぼう

不動産を売却するとき、契約の種類によって自己取引などの自由度や、仲介手数料の有無が変動します。仲介手数料は法律によって上限が定められているため、不動産を売却する前にどの程度のコストが掛かるのか見直してみるのもポイントです。

不動産の売却にはほかにもさまざまな細かいルールが存在するため、「不動産の売却を考えているけど注意点はなんだろう?」「自分にあった媒介契約の種類はどれだろう?」といった悩みをお抱えの方は、ぜひお気軽に住宅情報センタースタッフまでお声がけください。