アパートやマンションなど、多くの賃貸物件には共用部分が用意されています。そんなアパートの共用部分は、ほかの入居者と言葉通り”共有”するスペースです。場合によっては住人同士のいざこざに繋がってしまうため、一定のマナーを守って利用しなければなりません。

さらに、意外と知られていないのが、「アパートのベランダも共用部分に該当する」ということ。

この記事では、アパートの共用部分とはなにか、共用部分におけるトラブル事例や、ベランダを心地よく利用するための有効活用法をご紹介します。

アパート・マンションの共用部分にありがちなトラブル事例

アパートやマンションには個人が住むお部屋だけでなく、廊下やエントランスなどの共用部分があります。ゴミ置き場や駐輪場といった建物外のスペースまで、共用部分が用意されているケースが大半です。

そんなアパートなどの共用部分は、利用方法によってトラブルに発展する事例が少なくありません。まずは、アパート・マンションの共用部分にありがちなトラブル事例についてご紹介します。

契約外の共用部分を利用する

アパート・マンションには、共用部分のスペースが契約で明確に定められています。たとえば、「◯◯号室は◯◯番の駐車場を使う」などや、「このエリアの駐輪場は使っても良い」など、駐車場・駐輪場のスペースはどこでも誰でも使って良いわけではありません。

場合によっては、契約範囲外の共用部分を勝手に使ってしまうケースもあり、もとの契約主とのトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。悪質な行為だと認められると、大家や弊社などの管理会社によって強制撤去などの処置が取られてしまいます。

ゴミ捨てのルールを守らない

各地方や自治体において、ゴミ捨てのルールは明確に定められています。ゴミの分別はもちろん、捨てる日時や時間帯が決められているにも関わらず、ルールを守らずにゴミ置き場へ捨てる人がいます。

そのようなケースは近隣住民同士とのトラブルにも発展しやすく、住民全体から反発を受けてしまう場合も。アパート・マンションにおけるゴミ捨て場は立派な共用部分のため、トラブルを避けるためにもゴミ捨てのルールを守りましょう。

私物を置いてスペースを占領

共用部分のトラブルでありがちなことが、廊下などの通路に私物を置いてスペースを占領してしまう行為です。基本的に、多くの賃貸物件では共用部分に私物を置くことは禁じられています。

また、消防法で「避難を妨げるものを通路においてはならない」と定められているため、火災予防条例の侵害として大きなトラブルに発展してしまうケースもあります。アパートやマンションの通路など、共用部分に私物を置くことは厳禁です。

アパート・マンションのベランダは”共用部分”に該当

一見すると共用部分ではないベランダですが、実は立派な共用部分です。原則として「専有的に居住者が使用できる共用部分」であり、大量のモノを置くことは禁じられています。

なぜなら、アパートやマンションのベランダは緊急時の避難通路として機能するからです。消防法によって、避難の邪魔になるものを置くことは禁じられているためご注意ください。

ベランダの利用はマナーを守る必要がある

共用部分とはいえ、ベランダはあくまで専有的に居住者が使用できます。その際はマナーを守って利用することが大切です。たとえば、花火やタバコといった煙やニオイが出るものをベランダで使っていると、周りの人の洗濯物にニオイがしみついてしまったり、隣人からクレームがきたりする恐れがあります。

特に花火は家事などの危険性を伴うため、多くのアパート・マンションで禁止されています。

ほかにも、洗濯物が階下に影を作り、「洗濯物が干せない!」といったクレームに発展するケースも。ベランダを利用する際は、隣人などに配慮して迷惑をかけていないか振り返ることが大切です。

“共用部分”でもベランダは有効活用できる

ベランダは共用部分として、万が一の避難経路を邪魔してしまう”モノ”を置くことは禁じられています。とはいえ、何ひとつモノを置いてはいけない、という訳でもありません。

ここでは、ベランダを有効活用するのに役立つグッズをご紹介します。

ゴーヤーカーテン

沖縄ならではのベランダ活用法として、近年人気を集めているのがゴーヤーカーテンです。植物のゴーヤーをカーテン状に育てることで、すだれのように日差しを遮ることができます。風通しも維持できるため、蒸し暑い夏場も涼しい風を取り入れられる点がメリットです。

ゴーヤーは熱に強く、沖縄の熱気にも耐えられます。そのため、ベランダガーデニングなど「ベランダでなにか植物を育てたい」という人には一石二鳥の植物です。昔から沖縄で自生している「オキナワスズメウリ」も同様に人気があります。

日よけ(すだれなど)

ゴーヤーカーテンは定期的な手入れが必要なので、ほとんど手入れせずに日差しを避けたい人にはすだれや日よけシェードなどのグッズをおすすめします。専用のシェードを使えば、日よけだけでなくプライバシーの確保も可能です。カラーリングなどの種類が多いため、自分好みのベランダをデザインしやすくなります。

タイル系

ベランダにウッドタイルや人工芝を敷くのも人気なインテリアの1つです。通行を防ぎにくいうえに、ベランダの見栄えを良くすることができます。

ウッドタイルには水はけの悪いタイプや、人工芝には天然の芝を利用したタイプなどがありますが、場合によっては配管のつまりや汚れの貯まりに繋がってしまうためご注意ください。

ベンチ系

通路として機能しなくなるほど大型のベンチは利用できませんが、近年では「収納ベンチ」と呼ばれるタイプが登場しています。薄型のためベランダのスペースを確保しやすく、ものを収納できたり、椅子として機能したりします。

応用すればベランダでの飲食など気分転換にも利用可能です。

アパート・マンションの共用部分はトラブルを避けて利用しよう

アパートやマンションの共用部分は、居住者のものではありません。消防法では万が一の避難通路として、通路などに私物を置くことを禁じています。また、ベランダも居住者が専有的に利用できる”共用部分”なため、通路として利用できないほどの大型な荷物を置くことは禁じられている点に注意が必要です。

言い換えれば、ベランダは共用部分ではあるものの、万が一の避難通路として機能する範囲内であれば、自由なインテリアデザインを利用できます。その際はゴーヤーカーテンなど機能性などを交えてインテリアデザインを考えれば、夏の強い日差しから身を守りつつ、ガーデニングを楽しむこともできますよ。

住宅情報センターでは、「共同生活における9つのルール」として動画も掲載しています。近隣と住みよい環境を共有することは、暮らしの安心感にも繋がりますので是非、こちらも参考にしてみてください。